2014年7月23日水曜日

トヨタFCV

究極のエコカーといわれる燃料電池自動車の今年度内市販が発表された。この所BMWから電気自動車2種が発売されたりで、有名ブランドの参入が購買意欲にどう影響するか注目を集めている。そうしたこともFCVの発売を早めた理由では、とするマスコミもある。20年ほど前開発された当時は一台1億円で、およそ現実的ではなかったことを思えば、今回の700万円程度は(いわれる補助金を勘案すると約500万円)急に現実的になる。量産効果の先取りや、いつまでも補助金頼りでは長続きしないことには注意しなければならない。

一橋大学による政策サロンが、7月22日日比谷図書文化館で、トヨタの小島FC開発部長を迎え行われた。関心の高さから満席で、また技術者らしい誠意のこもった話しぶりに好感がもてた。FCV(Fuel Cell Vehicle)は、水素を燃料として空気中の酸素と反応させ電気を作りモーターを回す。いえば簡単だが、市販に至るまでの技術開発の困難さは想像に難くない。隙間技術と揶揄さえされたハイブリッドシステムを先駆けて開発し、今やル・マン24時間レースでアウディも採用するなどトヨタは世界をリードしている。一方、アメリカの電気自動車メーカー、テスラモーターズに出資しその分野にもコミットしているのだが究極はFCVで、国際標準化をも図っていかなければならない。

ここで、一般の人が持つ水素に対するイメージを考えたい。FCVは水素と酸素の反応後 H2O、即ち水しか出さず排ガスはない。しかし充填のための水素ステーションは、危ないのではと懸念する人も多いだろう。かつての飛行船ヒンデンブルグ号の爆発炎上とか、最近の福島原発上屋に於ける水素爆発による誤解も影響している。ヒンデンブルグ号は外皮の混合塗料に引火であり、水素が原因ではなかったことが分かっている。福島は放射性物質の遮蔽のため水素利用施設に義務づけられている通気口がないという矛盾した問題があったからで、プロパンタクシーのボンベの安全性に疑問を持つ人が今はいないのと同様になる。技術者がいくら安全といっても安心に繋がらないのが厳しいところなのだが、理論を積み重ね、現在のガソリンスタンドあるいはプロパンスタンドで示されている安全性と、同じレベルの理解が得られるよう努力が求められている。

充填におよそ3分しかかからず、航続距離700Kmといずれも電気自動車を大きく上回る。しかし価格だけでなく普及のために、水素ステーション設置が肝要である。補助金は車両のみならずこうしたインフラ整備にも必須なことは論を待たない。トヨタが再びかけがえのない私たちの住む地球に優しく、Fun to Driveな車づくりの先頭に立つことに期待したい。

*FCV写真:トヨタHPから

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