安全運転に徹し第二次安倍内閣は、改造前同一閣僚内閣として戦後最長617日、不祥事を起こさず高い内閣支持率を保った。女性閣僚を小泉時代に匹敵する5名として新たに発足、支持率も上げいよいよというところでの大きなつまずき。好事魔多しの格言は総理、小渕、そして同時に辞任の松島前法相にも当てはまってしまった。
小渕前経産相の記者会見を見てやはりずれていると感じたのは私だけではないだろう。「驚いている、信頼している人に任せていた、全体像が分からない」、人事のように聞こえる。観劇の会費収入と明治座への支出の大きな乖離、差額を補填したなら有権者への利益提供、収入を低く記載なら差額はどこに行ったのか、ミスとは到底いえない額なのだ。親族経営の店からの買い物には世話になっている県外の方への贈り物、民間企業でも・・・、政治家の事務所は個人経営の商店のようなもので、全てが分かっていなければならない。いやしくも政治資金は政治活動に必要な資金であって、だからこそ非課税であり、儀礼のために使うものではない。民間企業へ税務調査が入れば否応無く厳しく問いただされる。嘗て秘書が秘書がと逃げることがまかり通り、政治資金規制法、公職選挙法の実効性が大きな問題となって現行法は厳しくなっている。それを知らないではすまないのである。幾度となくいわれる政治と金、公人としての立場をわきまえず、特権意識による金銭感覚のずれとしか思えない。さらに群馬5区内有権者の祝い事に、赤白の自身の写真入りラベルのワインを秘書が届けたと報道され、明らかな選挙違反の疑いが生じた。その外野球観戦など疑惑が多数いわれる事態で、大臣辞職だけですむのか、オンブズマンが東京地検に告発もしている。弁護士を入れ調査というが、先ずは自身が詳細な説明を尽くさなければならない。
不思議なのは神奈川県選挙管理委員会は政治資金規制法による届けに、今回のような事業の収入と支出に対して対して事前チェック、簡単に分かるこうした場合は疑念ある旨の指摘がなされている。公職にある者、その候補者になろうとする者は自身も精査し、各種会費を伴う行事の収支に誤りがないか確認するのは常識以前の問題なのである。報道に二世議員の脇の甘さ、群馬の特殊性などという向きがいまだにあるのには呆れる。確かに中選挙区時代群馬県は福田赳夫、中曽根康弘そして小渕恵三の三者が同一選挙区で戦っていてそれは激烈な選挙戦だった。当時選挙は悪くいえば一大娯楽イベント。各選挙事務所には食事の場所がもうけられ、来た人に振る舞うなど当たり前。違反も何のその。その昔は酒も出ていたという。福田食堂、中曽根レストラン、少し手元不如意の小渕はラーメン屋と揶揄され「有権者」は食べ歩いていた伝説も。東京から来た人が驚き警察に問いただすと、皆やってるから・・・。小選挙区制に変わり最初の総選挙の折り福田康夫元総理の選挙事務所を訪ねたことがある。公職選挙法が厳しくなり事務所の設えは一変し、来訪者にお茶さえ出さなくなっていたのには驚いた。公職選挙法改正のため飲食の提供が禁止されました(元々そうだったのだが・・・)、飲み物は自動販売機でお求めください、と大きな張り紙が広いスペースあちらこちらにあった。
下仁田ネギと送料61万円の領収書がマスコミによって明らかにされているが、本当に県外の世話になった人へのものかは調べれば分かること。それにつけても何年も分からなかった方が不思議。誰でも収支報告書の閲覧は可能で、膨大な量といっても事業として行う新年会など各種行事の入りと出に注目するだけで、(今回はその乖離が大きすぎる)容易に露呈するケースがある。聞けば週刊新潮は小渕が入閣などすれば・・・だったという。各新聞社の新人記者を選管へ行かせ、主だった政治家の収支報告を一斉に調べれば残念ながら問題がかなり明らかになるであろう。
今回閣僚候補への身体検査が不十分だったことになる。小渕前大臣については銀のスプーンをくわえて生まれ、34才で少子化担当相、将来の総理候補とまで政界のみならずマスコミもはやし、政治家としての資質に迫ろうとしたことがなかったのではないか。内閣改造に当たっての一番の目玉に小渕を幹事長にと画策と伝えられ、読売は確定的に書く(後にどこかの新聞とは違い釈明記事を載せた)ほどだった。主権者たる有権者も日頃から、誰のために仕事をしてるのか政治家の言動に目を光らせ、夢々観劇会が楽しいからなどに惑わされてはならない。
*写真Wikipediaより
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