2014年11月15日土曜日

なぜ今、衆議院解散か。

衆議院の任期は4年。本来全うすべきなのだが、国論を二分するような事態が生じたとき、主権者たる国民に信を問うために解散がある。しかし解散の権限は首相にあって、だからこそ与党は都合の良いときにその権利を行使することになる。政治家は嘘をついてはいけない。だが、公定歩合と解散時期については許され、それほどの権能ということである。

嘗て、佐藤栄作は記者から解散を考えているのではないかと問われ、「頭の隅にもない」と答えた。その翌日解散となり、件の記者が『「頭の隅にもない」と言ったではないか』と言うと「真ん中にあった」と答えた逸話がある。

しかし、解散権を縛られた例もある。海部俊樹は政治改革を巡る国会で法案が廃案となり、「重大な決意で臨む」と解散をにおわした。対して、当時竹下派会長の金丸信から出来るならやってみろと一蹴されてしまった例がある。やはり力関係がある。

今回の安倍総理の場合も、記者から問われて、「解散時期について私から触れたことはない。一部報道(読売の記事)があるがそれについては論評しない」が返答だった。官房長官も総理の専権事項だから論評しないとし、密に連携しているのは自明の理。誰のシナリオかは分からないが官房長官には苦い経験がある。麻生太郎が福田康夫から政権を引き継ぎ直ぐ解散と思われていたが、リーマンショックが起こり、経済対策に当面専念すべきと解散阻止を図ったのは、当時選対副委員長の菅現官房長官だったと言われている。その後解散のタイミングを失い、任期間際での総選挙となり、政権を失う原因となった。

そこで、最近では例をみない任期半ばでの解散となるが、大義は何か。消費税増税の悪影響が想定より長引き、来年10月から10%へ引き上げは困難とみて、1年半先送りを決断しその是非を問うというが、実際は満を持しての内閣改造であったのが、看板の女性2大臣の不祥事による辞任、さらに後任大臣の政治資金支出先にSMクラブが発覚など、身体検査不十分もあって、第1次安倍内閣での閣僚辞任ドミノの悪夢も総理や官房長官を襲ったことは想像に難くない。そして、その割には野党のだらしなさのお陰でそれほどの支持率低下を招いていないことから、リセット、人身一新を期したのだろう。さらに言えば来年4月には統一地方選挙があるので、その前の総選挙なら、地方議員は自分の選挙のためにも働くだろう、の思惑もあるのは間違いない。暮れの忙しい時にしかも700億もの巨費を投じてなぜ、の大多数の主権者の気持ちは脇に追いやられてしまっているのが実情だ。

思い起こすと2年前当時の野田総理と安倍総裁との党首討論で、消費税増税と国会議員自身の身を切る定数削減を約束すれば11月16日に解散していいと思っていると、自ら解散時期を明言と極めて異例、というかおよそ自身でそのフリーハンドを縛ってしまう考えられない発言があって、安倍は今解散すると言いましたねと驚きの声を発したほどであった。その結果の自民大勝、第二次安倍自公連立政権成立だったが、抜本的定数削減は成されず公約違反のまま今回の解散総選挙にに突き進んでいるのだ。国民が欲する解散なのか試されているともいえる。

11月20日か21日解散、12月2日公示14日投開票はほぼ確定。主権者たる有権者は、確っかり目を見開き、自身の判断で投票権を行使したいものである。

定数 472 内295小選挙区、180比例

自由民主党 (294)
民主党・無所属クラブ (55)
維新の党 (41)
公明党 (31)
次世代の党 (19)
みんなの党 (9)
日本共産党 (8)
生活の党 (7)
社会民主党・市民連合 (2)
無所属 (14)

*写真 Wikipedia

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