2013年11月7日木曜日

新国立競技場問題

2020年東京オリンピックが決まり盛り上がっている。先ずは喜ばしい。そうした中昨年コンクールで決まった、イラク生まれロンドンに事務所を持つザハ・ハディドによる新国立競技場のデザインに、関心が集まっている。規模が大きすぎる、技術的困難が伴い建設費1,300億に収まるはずがない、地域の景観にそぐわない、などなど。コンペを開いて決定したのになぜ今になっての意見か、とも思う。決定時、2020東京オリンピック実現は厳しいと看ての、こけ脅かしだったのかと邪推したくなる。

しかしこうした懸念は、1995年の横浜港大さん橋の同種国際コンペをみれば大いに理由がある。国際港都横浜の面目を賭けての再整備で、採用されたのはこれも英国アレファンダロ・ザエラ・ポロとアルシド・ムサビ夫人共作のものだった。2層の平面で高い建物はなく屋上は波のようにウエーブし、ブラジル産の木材で覆い一部には芝が植えられるという斬新なもの。しかしデザイナーが無名だったことも手伝い実現に懐疑的な向きもあった。そのため検証まで行なったうえでの業者選定だったが、落札のゼネコンは構造材に複雑な形状による予想外の歪みが生じたと、建築費の増額を求めるなど何のための入札だったのか問題が次々発生。憂慮される事態に陥った。税金の無駄遣い、デザイン決定の経緯に疑問、さらに工事業者選定に疑惑が、とまで問題にされ市議会が紛糾することになった。

実際構造材を工場で組み立て、いざ工事をとなると複雑な波形のため食い違いが生じ、現場での修正に追われて工期は遅れ、費用もかさむ結果となった。しかし設計上の検証まで行なったにも関わらずの事態は、大きな問題で予算230億は何と371億にも膨らんでしまった。こうした経過をたどりながらも2002年に完成。今も1F駐車場辺りで、骨組みに現場で修正した跡がはっきり見て取れる部分が多数ある。

新国立競技場と違い景観の問題は全くなく、出来てしまえばそれはそれで良かったとなっているのだが、機能、環境、景観、そして予算いずれも多くの市民が納得できるものでなければならなかったのは論を待たない。

新国立競技場が、横浜港大さん橋のような経緯をたどることがないように対処しなければならないのは、言うまでもない。

*横浜港大さん橋、日本スポーツ振興センターHP

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