2012年9月21日金曜日

九月大歌舞伎

芸術・文化は政治になじまない。文化行政の難しさはそこにある。橋下大阪市長が人形文楽にいちゃもんの報道を見るにつけそう思わざるを得ない。歴史を知らずして面白いの面白くないのと自身の感性を棚に上げた評論、呆れるばかりだ。ヒットラーやスターリンがその体制に迎合するもの以外を排除した事実がある。政治家は文化から最も離れた所にいると揶揄される所以だ。

正月に続いて友人から、染五郎の事故で耳目を集めた歌舞伎の誘いがあって観賞に出向いた。昼間なので圧倒的に高齢女性が多いが満席。中央2列目という席で、役者の表情が手に取るようで内面まで分かりそう。

演目は寺子屋と河内山。後者は悪巧みに長けた河内山宗俊(中村吉右衛門)が、武家に腰元奉公する大店の娘が幽閉され、金目当てにそれを助ける話。悪坊主と分かっていながら手付けを打って頼む別の大店の主人とのやりとり、武家屋敷に乗り込んでの交渉、はったり相手の痛いところ突く術数の数々。このとき舞台では寛永寺の僧に化けた河内山の所作を黒子が補佐。橋本なら目障りというのだろう。そして成功と思いきや辞するところでバレ、さてどうなるか、見せ場だ。悪びれず大見得を切り重役に決断を迫る。家の名誉も係って河内山は目的を達成する。強きを挫き弱きを助ける爽やかでもある宗俊の一連のやりとりは、外交交渉でもこうでなくてはと思わせる。

こうした我が国の誇るべき文化、伝統を私たちは改めて認識したいものである。北京市が日本関連書籍を禁止の報道があった。中国4千年の歴史が泣いている。

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